開店中<本屋の森のあかり4>
さて。
いったん中断した、「書店の一日」の第4回。

今日のこぼれ話は、
カバー
について、
でいってみますかー。

店が暇なときでも、書店員にはやることはいっぱい。
品出しなどが一段落して、余裕があるときも、
ただ、ぼーっとしたり、
本を読む、
なんてことは絶対できません(笑)
レジには誰かいないといけないので、
このときに、やることになるのが、
カバー折り
です。

本を買うと、レジでつけてくれる店名入りの紙製ブックカバー
あれを折るのだ。

基本は、
文庫用、新書用、単行本用の3種類
それより大きい本は、そのときそのときで、
大きな紙を本の大きさに合わせて折る。
だから、店には、4種類の大きさの店名入りの紙があるわけだが、
一度、ものすごい大型絵本
「カバーかけて」
と言われて、
一番大きい紙でも足りなくて、
仕方なくプレゼント用の包装紙でカバー折ったことあったなあ(笑)

ブックカバーの形状や折り方も店によって様々で、
あたしの観察した限りでは、

・折り込み式
・天地折り
・天地片袖折り


の3つに分類できるかと。
(呼び方は正式名称じゃないかも。
あたしがそう呼んでるだけだからね。笑)

まずは、折り込み式
縦が、ちょうど本の高さ、
横は、本体の幅より少し長く、
裁断してある1枚のペラ紙。
つまりは横にながーい長方形の紙だ。
本の周りにくるーっと巻いて、
余った部分を表紙、背表紙に合わせて折り込むだけ。
(店よってはあらかじめ表紙側を折ってあるところも)
最近は、このタイプが多いよね。
駅構内に店舗の多い、
Book 1st.さんやBOOK KIOSKさんは、これだった。
お急ぎのお客様の多いところでは、
一番早くかけられるものを選んでいるということかな?

次に、天地折り
縦が本の高さよりかなり(上下3センチずつくらい)長くなっていて、
横は折り込み式より、やや短め。
カバーの上下を本の天地に合わせて折ってあり、
表紙、背表紙に合わせて折り込むのは同じ。
違いは、天地が折ってあると、
左右を折った部分に、本を差し込むことができるようになり、
はずれにくくなる、というメリットが。
昔は、このタイプが主流で、ぺんのバイト先もそう。
紀伊国屋書店さん、旭屋書店さん、
などは今でもこれだ。


天地片袖折りは、
天地折りのヴァリエーションで、
本の上下だけでなく、
片側(たいていは右側)もあらかじめ折っておくもの。
長さは、もう片方で調節できるから、
初めから片側を折っておくと、
お客様の本にカバーをかけるときに、
一工程、省略できるってことだね。

もしかして、大きな店では、
あらかじめ折ったものが
印刷屋さんから、納品されたりするのかな?
と思ったりもするけど、
普通の書店では、店で折ってる。

あたしのバイト先では、
店に代々伝わる(?)
本の高さに合わせて切った、
固い段ボール製の型紙のようなものが
文庫用、新書用、単行本用と3種類あり、
それを使って折ってた。

10枚ほどの店名入りのブックカバー用紙の中央に、型紙を載せ、
上下の幅が同じになってるのを慎重に確認して、
ごつい書道用の文鎮で、
ぎゅううっと、
天地のどちらかに折り目をつける。
次に反対側も。

このとき、楽をしようとして、
大量の紙をいっぺんに折ろうとすると、
外側のカバーはずいぶん幅が広くなってしまうから、注意(笑)
やっぱり10枚くらいが一番いいと思う。

そして、型紙をはずし、
片方を手で押さえて、もう一方の紙を
ぱらぱらとほぐすみたいに、
1枚ずつにしていく。
10枚重なってるのを、1枚ずつにばらすってことね。
そして、片側を押さえたまま、
いま、ばらした部分の折り目を、
文鎮で、もう一回プレス。
くるっと左右を返して、
反対側も、ばらして、また、ぎゅうっと!
折り目くっきりの綺麗なカバーの出来上がり♪

これを繰り返して、
50、とか100とかストックしていきます。

でも、カバーを「折る」作業より大変なのが、
「かける」こと。

あたしのバイト先にも、
ときどき、版元さんから販促の一部として、
フェア用のブックカバーが送られてくることがあり、
「夏の100冊」など)
これは折り込み式だから、
かけるのがすごく楽で、
「もっと、いっぱい、くれっ!」
と、いつも思っていた(笑)

同じ天地折りの店の場合でも、
かけ方は、様々。

・折り込み式と同じように、
 表紙側、背表紙側を折り込むだけで済ませる。
・片側は折った部分に本を差し込むけど、
 反対側は折るだけ。
・両側共に差し込む。


というお店があるけど、
あたしの働いてた店は、3番目の、
がっちり、全部やるところでした(汗)

はずれにくいカバーをお望みのお客様にとっては、
良い店だけど、
書店員には、嫌なお店だ(笑)

新人の頃は、
カバーをかけるのにも手間取るし、
どうしても、もたもたするから、
レジ前に行列ができたりして、
すごく焦る。
あまり、混み合ってくると、
見かねた先輩が、
「カバーかけ代わるから、レジどんどん打って!」
とヘルプに来てくれたりするのだが、
それはそれで、落ち込んだりしたものだ。
「カバーいりません」
と言ってくださるお客様が、
天使に見えた(笑)

さすがに3年やると、
5冊でも10冊でも、どんとこいっ!!」
になり、
カバーいらない、と言われると、
「ちっ!せっかくの、ぺんさんの超絶技巧
見なくていいのかよっ?!」

とまで思うようになるのだが(笑)

この当時、自分の店のカバーのかけ方が、
体操で言えば、E難度だと思ってたあたしは、
後に、さらなる高難度のお店があることを発見。

どこのお店だったか忘れたけど、
まるで、将棋穴熊のような、
固い守りの、かけ方を見た!!

いきなり、書籍の本体から元々ついてるカバーを外し、
本を裸に!?
白昼のストリーキング!?
一瞬、自分が裸にされてるようで、照れる(笑)
ばらしたカバーの方に、書店のカバーをかけ、
そこに本体を差し込む。
面倒だけど、絶対はずれないよな・・・(驚愕)
すごいにゃあ。G難度だ(笑)

そんな書店のブックカバーも、
あたしが書店員だった約20年前とは様変わり。

ブックカバーの広告媒体としての
価値が認められ、
もともと版元さんが販促用に作っていたもの以外にも、
一般企業などの広告が入ったブックカバーが出現。
これは、書店にとっては、
経費削減になるし、
ほとんどが折り込み式なので、手間もはぶける。

大阪ではまだ見たことないけど、
首都圏の大型書店では、
「ブラジャケ」(「ブランドジャケット」)
と呼ばれる、
企業や商品のブランドイメージに合わせて宣伝用として作られた、
無料のブックカバーのラックが設置され、
新しい映画、舞台、CDなどの広告や、
キャラクターものなど、
オサレなデザインのカバーを好きに持って帰っていいそうだ。

三省堂書店さんでは、
イラストレーター養成スクールとタイアップして、
「あなたのイラストが三省堂書店のブックカバーになる!」
イラストコンクールなども開催していて、
毎回、すごい数の応募があるみたい。

なるほどなー(感心)

そういうわけで、
経費削減にもなり、お客様も喜ぶ、
広告媒体としてのブックカバーが普及してきて、
昔ながらの「書店オリジナルブックカバー」は、
減少傾向にあるんだとか。

でも、あたしは、それぞれの書店さんの個性のあふれた、
ブックカバーって好きだ。

紙資源の節約には協力したいから、
近所の紀伊国屋さんなどで買って家ですぐ読むときは、
(家にいっぱいカバーあるし)
「いらないです」
って言うし、
出先で買うときも、
同じサイズの本を複数買うなら、
「1冊だけかけてください」
というけど、
初めて行った書店では、やっぱりもらうよ♪
どんなデザインか楽しみだもん。

こんなに、いろんな美しい書店のカバーが本を彩る国って、
他にはないそうだ。
(かつては韓国でも同じ習慣があったけど、
1990年代に「ゴミ減量運動」でなくなったらしい)
もう「日本の文化」のひとつと言ってもいいよね?

そう思う方は、きっとたくさんいて、
行く先々の書店のカバーをコレクションしてる、
という人もかなりいるはず・・・
と思っていたら、
やっぱり、その通り。

「書皮友好協会」
というのがあるんですう!

本好きの人が愛読する『本の雑誌』誌上で、
愛知県在住の方が、
「書店カバー友の会を作りたい!」
という投書を出したのが、きっかけで、
会報の発行や、
毎年行われる全国大会で、
全国の書店・古書店のブックカバーの中から、
その年の「書皮大賞」を選ぶ、
という活動も、もう20年以上続いてるんだって。

元書店員としては、
本屋のカバーが、それほどみなさまに愛されているんだなあ、
と思うと、とてもうれしい。

そんな書皮友好協会会員が選んだ書皮大賞20点を含む、
全国の本屋さんのブックカバーを集めた本も出てるんだよ。


『「カバー、おかけしますか?」―本屋さんのブックカバー集』
出版ニュース社編(出版ニュース社)


全国各地の書店の191点のブックカバーを収録。
棟方志功、長新太、谷内六郎、山藤章二、沢野ひとし
など、
有名な方の手がけたものも。

いいなあ。
もっともっとたくさんのカバーがつまった、
『全国書店カバー図鑑』みたいなのあったら、多分買う(笑)

様変わり、という意味合いでは、
本来、自分で書店に行って、本を買わなければ入手できなかった、
書店のブックカバーが、
自宅でも手に入るようになったのも、驚きだった。

インターネット通販の普及で、
オンライン書店も増加し、
bk1(ビーケーワン)
では、
オリジナルデザインのブックカバーを
ファイルでダウンロードできるサービスを開始。
家でプリンアウトすれば、
ブックカバーの出来上がり。
他の書店や版元さんでも、同様のサービスを始めたり、
「本の洋服屋さん」
のような、
無料のブックカバーダウンロードサイトができたり、と、
いろんな楽しみ方ができるようになりました。

ブックカバーは使うけど、
紙製の使い捨てのものは、
環境的にどうかなあ・・・
というエコな人のために、
各社、各書店で、
何度も使えるタイプ(皮製、布製、不織布製、ビニール製など)
のブックカバーの販売やサービス配布も増えてる。

実は、古本ぺんぎん堂でも、
ぺん特製ブックカバー売ってるんです(笑)


こんなのとか。

店のオリジナルグッズを作りたい、
と思ったときに、思い浮かんだのが、
「やっぱり、ブックカバーだろ?!」
だったんだよねえ(笑)

あたしの特技(洋裁)を生かして、
凝りに凝った布製カバーを作ったんだけど、
凝りすぎて、量産できない(笑)
もう、ほとんど売り切れてしまったのに、
なかなか追加分が製作できないのだ〜〜〜〜(泣)

ひとつひとつ手作りの世界に1個しかないブックカバー

なんとか、年末年始に、第二期製作・販売
したいとは思ってるのですけど・・・(汗)

まあ、あまり期待しないで待っててください(笑)

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