まだ本調子じゃないので、
仕入れには行けなくて、
新着本は少しお休みだけど、
普通に店の仕事はできてます。
ご注文ありがとうございます♪
なるべく、安静を心がけて、
布団星人として、正しい生活を送っているぞ。
土日は、どっぷり、布団の中で、
万城目(まきめ)三昧でした。
今日のお題は、
先日、
鴨川ネタのときに、
併せて本も紹介した
『鴨川ホルモー』の続編というか、
番外編6編を集めた作品集
『ホルモー六景』万城目学(角川書店)
から。
『鴨川ホルモー』のあらすじは、
前回紹介したように、
京都大学に入学した新入生・
安倍が、
新歓コンパで一目惚れした女の子目当てに、
京大青竜会という謎のサークルに入り、
平安時代から続くと言われる
「ホルモー」なる競技を、
他大学と競うことになる、
不思議な青春ファンタジーである。
(*このあとの文章は微妙に
ネタバレ注意報。)
京都で学生時代を過ごした、あたしにとっては、
出てくる場所やお店に、
あれこれ思い出があり、
「京都か……何もかも皆懐かしい」
と
沖田艦長のように、つぶやいてしまうお話であった。
唯一の無念は、
この素晴らしい
「京都小説」に、
我が母校
D大が出てこないことだった。
市内の真ん中やや東北に位置する母校は、
鴨川を挟んで、京大とは、
お隣さん的な位置づけ。
駅の真上が学校だから、
ほとんどの学生は、地下鉄の
「今出川」駅を利用するのだが、
大阪方面から来る学生は、
京阪電車も使う。
その場合の最寄り駅は、
賀茂川と
高野川が合流して
鴨川になる地点、
物語の重要な舞台にもなっている
下鴨神社を含む、
鴨川デルタと呼ばれる三角の先端にある、
「出町柳」で、
ここは、京大の最寄り駅でもあるのだよ。
陰陽五行説
(古代中国に端を発する自然哲学の思想で、
万物は
木・火・土・金・水の5種類の元素からなるという説。
様々な事象がこれによって、5つに振り分けられている)
に基づく決まり事のある、このホルモー。
参加する大学(京大、京産大、立大、龍大)は、
京都市内の
東西南北に位置し、
チーム名も四神あるいは四獣(
青竜、朱雀、白虎、玄武)に由来、
シンボルカラーも、
それぞれに
青、紅、白、黒が使われている。
D大は、今出川通りを基準に考えると、
京大と立命館大学の真ん中やや東よりで、
京大エリアに取り込まれてしまったゆえに、
物語に登場しなかったのだろうなあ・・・。
帝のおわした京都
御所を京の中心地と考えれば、
D大は
真上(この表現については後日書く予定)だから、
「京都の、ど真ん中なのにさー!」
と思っていたぺんさん。 ←ちょっぴり、スネスネ
五行説を素にしているのに、
チーム(大学)が4つしか登場していない
という伏線には、思い至らず。
このブログを読んでくれてる、
「もろともに」さんのコメントで、
『ホルモー六景』には、D大が出てくるとの情報が・・・。
あわてて図書館で予約して、
今回の
万城目祭りとなったんだけど、
出てくる、どころか、
ホルモーの歴史に、ものすごく重要な役割を担っているではないですか!?
登場するのは、
「第四景 同志社大学黄竜陣」
ふぎゃ!?
今まで、学校名を伏せてきた、意味ナッシング???
・・・ま。いいか(笑)
簡単に言うと、
元々、ホルモーには、
五行そのままに、上記4チーム以外にも、
土、中(中央)、黄色、黄竜を司る、
第五のチームが存在し、
それが
同志社大学(のある場所=
旧薩摩藩邸)にあったのでは!?
という謎を描いた短編。
ホルモーの存在も知らず、
歴史が苦手な同志社の新入生・巴が、
憧れの教授の研究室で見つけた木箱と古い手紙から、
知らず知らずのうちに、
コトの真相と、黄龍陣復活に関わってしまうお話だ。
大学の描写はとてもリアルで、
読んでるうちに、いろんなことを思い出した。
内容にからめて、少し学生時代の思い出を綴ってみよう。
このお話に登場する、英文科の教授で、翻訳家でもある桂先生。
彼に憧れて、同志社を受験することにした巴。
偶然、入試の試験監督が、その桂先生であった。
受験生の緊張をほぐそうと、
先生が口にした冗談が、
「もしも合格しても、
君らは三回生になるまで田辺やな。
田舎やけど、空気はええぞ。
田辺から今出川に来たら、
空気が悪なって、急に鼻毛が伸びだすらしい」
というもの。
この一文は、D大生には、数々の懐かしい思い出、
そして、あるときは悪夢をよみがえらせる
起爆剤である。
大都市圏の、比較的歴史のある学校の多くがそうであるように、
学生数の増加や、学部学科の新設、多様化に伴い、
街中にある学舎だけでは手狭になり、
やむをえず、郊外に、
第二学舎を建設する、
という事態が、我らがD大でも起こった。
京都市内から、遙かに南、
もう
ほとんど奈良だろ・・・!?
という現・京田辺市の山中に、
広大な敷地を持つ、
田辺(京田辺)キャンパス
ができたのだ。
実は、ぺんは、この田辺キャンパスに入学した、
第一期生なのである。
入学式の前日まで知らなかったけどな・・・(大汗)
だってー!!
入学試験を受けたのは、
今出川だもん。
発表も手続きも、今出川でしたんだぞ。
D大といえば、
烏丸今出川、
御所の北、
旧薩摩藩邸跡地、
隣は
相国寺。
明治時代に、
新島襄によって創始され、
有終館、クラーク記念館、ハリス理化学館、彰栄館、礼拝堂
と、
敷地内に5つも
国の重要文化財があるという、
歴史の重みを持つ美しい煉瓦造りの大学。
「これぞ、京都!!」
という学校なのだ。
あたしの脳内は、
その素晴らしいキャンパスで、
偶然、母校を訪れた、
先輩にして、憧れの作家・
筒井康隆さんと
運命的な恋に落ちる、という妄想しかなく、
「D大に合格した」
という喜びだけで、
他の現実など、とうてい入る余地などなかったのである。
入学式の前に、
同じ高校からD大に通うことになったM美の口から、
「明日の入学式だけじゃなく、
最初の二年間は、ずっと田辺に通うんだよっ!
今出川に行けるのは、三回生からなのっ!」
という驚愕の事実を聞かされた、ぺんさんが、
激しく落ち込んだのは言うまでもない。
そこは、何もない、
ド田舎であった・・・。
奈良県民である、ぺんが、
「うちの近くより田舎だ」
と断言できるくらいの(笑)
駅前に、コンビニもファストフードの店もない、
各駅停車の電車しか停まらない近鉄の駅から、
田んぼの真ん中を突っ切り、
竹藪を切り開いて作った長い長い坂道を、
15分もかけて、ひたすら上る。
これは校門までの時間。
上りきった山の中に、突然現れる、
美しい煉瓦造りの校舎の数々だけは、
今出川を真似たものだが、
とにかく、
無駄に広いのである。
一般教養の授業のある校舎はまだしも、
どの学部の学生も逃れることができない、必修科目
「体育」がある、
体育館や、テニスコートなどには、
校門からさらに、20分も歩かなければたどり着けない。
何度、校内で、
「行き倒れ」になりかけたことか・・・(涙)
新しいので、確かに、設備は良かった。
食堂・購買棟には、
どこの大学にもある、大学生協の食堂だけでなく、
カフェテラス、ダイエー系列の食堂、
と3つもの大型食堂があり、
「おいしんボ横丁」と呼ばれる専門店街には、
ラーメン屋、寿司屋、とんかつ屋など、
一般企業も入って、外部の人も食事が可能で、
当時は、連日のように、テレビや雑誌の取材が来ていた。
しかし、この一見恵まれた環境は、
学校の近隣に、お店らしいお店が全くないからだ。
校門をくぐったら最後、
大学の外に食べに出たり、出前を取ったりできない、
哀れな囚われ人への、お情けなのである。
今頃、先輩たちは、
中島食堂で、いかにも学生らしい定食をワシワシと食べたり、
わびすけで、
いもねぎを教授にごちそうになったり、
ほんやら洞で、本とレコードに囲まれて、ランチを食べたり、
ヤオイソでフルーツサンドをオホホと頬張ったり、
変なパンダのいる喫茶店の二階で、麻雀に興じたりしてるんだろうなあ。
「こんなの同志社じゃないっ!
こんなとこ京都じゃない!!
だまされた・・・」
と呪詛の言葉を吐きながら、
1、2回生は、
今出川への憧れを、胸に、必死で田舎暮らしに耐えるのだ(笑)
大好きな桂先生が、
田辺での一般教養は担当していない上、
今年いっぱいで退官が決まっていて、
先生の授業を受けられないことに衝撃を受けた巴は、
ある日、今出川キャンパスに潜り込む。
「浮いてないかな?私」
と、どきどきする巴の姿は、
なんだか、懐かしい。
高校生に毛が生えた程度で、
まだ、化粧も上手くできない1回生が、
学科やサークルの行事で、たまに今出川に行くと、
すごく、緊張して、舞い上がってしまうのだ。
3、4回生ともなると、雰囲気が落ち着いているし、
浪人や留年で、実際、ものすごく年上の人もいて、
就職活動のためか、スーツなんか着てると、
すでに
おっさんのような人も(笑)
そして、ついに3回生に。
田んぼと竹藪の匂いのする田辺から、
御所の北、烏丸今出川に通うようになる。
烏丸通りと今出川通りという、大きな通りが交差する、
人も車も多いこの地にやってくると、
確かに、
鼻毛が伸びる。
中には、1メートルもの鼻毛を風に堂々となびかせている人もいる。
在学可能期限ぎりぎりの8回生は、
弘風館と
明徳館のあいだで、
鼻毛で
糸電話ができるらしい。
お洒落上級者は、
鼻毛を
三つ編みにしたり、
パーマをかけたり、
ドレッドにしたり、
リボンを結んだりと、
思い思いの鼻毛ファッションを楽しむのだ。
鼻毛の伸び具合で、
まだ今出川デビューまもない3回生であることがバレてしまうため、
背伸びをしたい学生は、
せっせと、
鼻毛エクステンションに通う。
美しく長い鼻毛は高く売れる。
学生結婚した連れ合いに、クリスマスプレゼントを買うために、
自慢の鼻毛を売った妻の美談に皆が涙する。
学内の恋人たちは、鼻毛を繋いで歩く。
未来の恋人同士は、
「運命の赤い鼻毛」で結ばれていると、
乙女たちは信じている。
ああ。素晴らしき哉、鼻毛天国。
京都の思い出話は、また書くかも。